第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
「マルコさん、私、いつまでもただ守られているだけじゃ嫌なんです。何か、この船のためにできることをさせてください」
ある日の午後、いのりは医務室を訪ねてきたマルコに真っ直ぐな瞳で訴えた。
掃除や洗濯、料理なら一通りできる。
そう話す彼女の控えめながらも強い意志を感じ、マルコは「わかったよい」と、彼女を厨房へと連れて行った。
「サッチ! 新しい助っ人を連れてきたよい」
「ん? 助っ……おおっ! いのりちゃんじゃないか! いらっしゃい!」
四番隊隊長兼料理長のサッチは、包丁を放り出して大喜びで駆け寄ってきた。
「サッチさん、よろしくお願いします。お料理、お手伝いさせてください」
「もちろんだとも! こんな可愛い子が厨房にいてくれるなんて、俺のやる気も百倍……いや、万倍だぜ!」
サッチはさっそく、鼻歌混じりに彼女にこちらの世界の食材を教え始めた。
見たこともない巨大な海王類の肉や、不思議な形の果実。
いのりは目を丸くしながらも、持ち前の器用さで手際よく下処理をこなしていく。
「へぇ、筋の引き方が丁寧だな。いい腕してるじゃないか」
「ありがとうございます。実家……いえ、前の場所では、これくらいしかやらせてもらえなかったので」
ふと見せた寂しげな表情を、サッチは明るい声で吹き飛ばす。
「よし! じゃあ、今日はお前の故郷の味ってやつを教えてくれよ。アレンジは俺が手伝うからさ!」
その晩、食卓にはいのりが作った和食が並んだ。
特にそれに食いついたのは、十六番隊隊長のイゾウだった。
「……ほう。この『肉じゃが』というやつか、優しい味だな。どこか懐かしい……。おい、いのり、もう一杯もらえるか?」
「あ、はい! イゾウさん、お口に合ってよかったです」
「ああ、気に入った。明日も、もし余裕があればこれを作ってくれないか。故郷の酒に合いそうだ」
イゾウのリクエストに、いのりは嬉しそうに頬を緩める。
一方、その隣では凄まじい勢いで皿を空にする影があった。
「んめェ! んめェよこれ! いのり、この飯、お代わり!」
エースが頬袋をパンパンに膨らませて叫ぶ。
「ふふ、エースさん、そんなに急がなくても逃げませんよ。はい、山盛りです!」
「おう、ありがとな! お前が作る飯は、なんだか力が湧いてくるぜ!」
