禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】
「おいエース、お前ちょっとこっち来い」
「んあ? なんだマルコ、俺は今肉を……」
オレンジ色の帽子を被り、口の周りにソースをつけた青年が、不思議そうに顔を出す。
「いのり。こいつは二番隊隊長のエースだ。歳もあんたに近いし、バカだが根はいい奴だよい。エース、彼女はいのりだ。優しくしてやれよ」
「へぇ、お前が噂の……! よろしくな、いのり!」
エースはニカッと太陽のような笑顔を浮かべ、屈託なく手を差し出した。
それは直哉のような見下す冷笑でも、他のクルーのような下心のある顔でもない。ただただ真っ直ぐで明るい光。
「あ……よろしく、お願いします……エースさん」
「さん、は抜きでいいって! 俺たちはもう家族だろ? 腹減ってねェか? ほら、この肉美味いぞ!」
エースが自分の持っていた皿から肉をひょいと差し出す
。いのりが恐る恐るそれを受け取ると、彼は「おっ、食うか!」と嬉しそうに笑って、隣に腰を下ろした。
「……あ、美味しい……」
「だろ! サッチが作ったもんにハズレはねェんだ! ところで、お前のいた島ってのは……」
話しやすいエースの空気感に、いのりの強張っていた肩の力が少しずつ抜けていく。
それを見ていた周りの男たちは、羨ましそうに地団駄を踏んだ。
「お、おい見ろよ……あのエースの野郎、もう仲良くなってやがる!」
「いいなァ……。俺だって肉くらい差し出すのに!」
「マルコさん! エースだけずるいっすよ! 俺らにも紹介してください!」
「ダメだよい」
マルコは酒を煽りながら、ぴしゃりと言い放った。
「お前らみたいなむさ苦しいのが束になっても、怖がらせるだけだ。当分はエースと俺、それからナースたちがお目付役だよい」
「そんなぁー!!」
男たちの悲鳴が響く中、いのりはエースの明るい笑い声に誘われるように、こちらに来て初めて、自分でも気づかないほど自然な微笑みを零していた。
それを見守るマルコの瞳は優しかったが、心の隅では、彼女の身体に深く刻まれた傷をどう癒していくべきか、医者として静かに考えていた。