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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】


「グララララ! 驚くのも無理はねェ。このサイズだ、大抵の人間は腰を抜かす。……マルコから話は聞いた。ひどい目に遭ってきたそうじゃねェか」

「……はい。私、あの……行く場所も……帰る場所も、なくて……」

いのりが震える声でそう言うと、白ひげは手元にあった大きな杯を置き、優しい、けれど揺るぎない眼差しを彼女に向けた。

「行く場所がねェだと? だったらここを居場所にしろ。帰る家がねェなら、この船を家にしろ」

「え……?」

「俺は、俺のことを『親父』と呼ぶ奴を全員、息子や娘だと思っている。……娘っ子よ。俺の家族になるか?」

家族。
禪院家では、ただ「胎」としか見なされていなかった。
自分を名前で呼ぶ者さえいなかった場所にいた彼女にとって、その言葉は魔法のように心へ染み渡った。

「わ、私…………いいんですか? 私、何もできないのに……」

「グラララ! 家族を養うのに理由はいらねェ。マルコ、この娘に部屋と新しい服を用意してやれ」

マルコは肩をすくめて、けれど嬉しそうに頷いた。

「了解だよい。……よかったな、いのり。今日からあんたも、この大家族の一員だ」

青い空の下、いのりの瞳から、今度は恐怖ではなく安堵の涙が溢れ出した。


「おーい野郎ども! 聞いたか! 新しい家族だよい!!」

マルコがそう叫んだ瞬間、それまで物陰や手すりの向こうで息を潜めていた男たちが、堰を切ったように一斉になだれ込んできた。

「うおぉぉ! 本当に可愛いお嬢ちゃんだ!」
「おい、酒持ってこい! 祝いだ、宴だ!」
「俺は五番隊の……! 」
「俺のほうが先に挨拶する!」

「きゃ……っ!?」

怒涛の勢いで押し寄せる大男たちの熱気と怒号。
いのりは、かつての恐怖がフラッシュバックしそうになり、その場にすくみ上がってしまう。
すると、頭上から鋭い声が響いた。

「おい、てめェら。あんまりビビらせんじゃねェよい!」

最前列でデレデレしていたクルーの背中を、マルコが軽く蹴り飛ばした。

「あだだだっ! マルコさん、酷いじゃないっすか!」

「うるせェ。この子はまだ男慣れしてねェんだ。……散れ、散れ! 掃き溜めに戻りなよい!」

マルコは羽ばたくように腕を広げて男たちを追い払うと、呆然とするいのりの隣に一人の青年を引っ張ってきた。




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