• テキストサイズ

禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第9章 彼は遊女の彼女を手放したくない 【鬼滅の刃 不死川実弥】


「……ここは、どこなの」

あの日、直哉の荒々しい吐息と、呪力の残滓が肌を焼く不快感の中で見た眩い光。
それが消えたとき、いのりは石畳の上に倒れていた。
拾い上げられた先は、極彩色に彩られた夜の街。
京極屋の女将は彼女の顔を覗き込むなり、「極上品だ」と下卑た笑みを浮かべた。



「おい、いつまで呆けている。客だ。お前は美貌だけはあるんだ、しっかり稼げよ」

女将に背中を突かれ、京極屋の豪華な着物に身を包みながらも、彼女の肩は小さく震えていた。
直哉に「胎」として扱われていた日々。
逆らえば何をされるかわからない恐怖から、ただ泣いて受け入れるしかなかったあの日々。
別の世界へ飛ばされてもなお、彼女を待っていたのは「女」を売って生きろという非情な現実だった。

「……これを、お酒に」

彼女は震える指先で、隠し持っていた睡眠薬の粉末を酒器へと落とした。
女将から「客を逃すな」と厳命されているが、男に抱かれる恐怖は彼女の心を粉々に砕くには十分だった。


「おい、いつまで待たせるんだ」

襖が開き、脂ぎった顔の男が部屋に入ってくる。
彼女はビクリと肩を跳ねさせ、這いつくばるようにして頭を下げた。

「も、申し訳ございません……。今、お酒をお注ぎいたします」

彼女は伏せ目がちに、薬の混じった盃を差し出す。
男がそれを一気に煽るのを見て、彼女は心の中で祈るように拳を握りしめた。

(お願い、早く効いて……。そうじゃないと、私……)

しかし、薬が回るまでには時間がかかる。
男は我慢しきれないといった様子で、彼女の細い手首を掴み、乱暴に布団の上へと押し倒した。

「いい身体だ。こんな上玉がいたのか」

男の大きな手が、着物の合わせ目に潜り込む。
いのりは反射的に目を閉じ、身体を強張らせた。
直哉に強引に扱かれた記憶がフラッシュバックし、吐き気がせり上がる。

(怖い……。でも、ここで拒絶したら、またあの時みたいに酷い目に遭う……!)

「あ……あの、旦那様。……私に、やらせてください」

彼女は震える声で、男の動きを止めた。
頬を赤く染め、涙目になりながら男を見上げる。
そのウブで、それでいて庇護欲をそそる表情に、男は動きを止めてニヤリと笑った。

「ほう、自分から奉仕したいというのか。殊勝なことだ」
/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp