第6章 盲亀の浮木
その日は悟さんは帰って来なかった。
夜に"おやすみ"とメッセージが着ただけ。
でもそれから半月は帰って来なかった。
寂しくて、悟さんの部屋で寝たりもした。
ずっとしていなかった自慰も初めてした。
悟さんがいないと、虚しい。
学校での行事があって、それの準備に、開催中のイレギュラー…悟さんはちゃんと連絡をくれた。
毎日1.2回…。
私の学校でも、体育祭などがあった。
今日も悟さんのベッドで、どうしようもない熱を発散しようとしていた。
誰かが家に入ってきたのはわかってた。
それが悟さんだってことも。
ゆっくり立ち上がって、寝室を出る。
リビングの明かりが点いていたので、そちらに行く。
扉を開けると、ソファに身体を預けて上を向いている悟さんがいる。
目隠しを額まで上げて、こちらに目線だけを送った。
「おかえりなさい。
お疲れ様」
「ん、ただいま。
――おいで」
手を伸ばされたのでゆっくり近付いて、その手を取る。
悟さんの目の前に誘導されて止まると、悟さんは身体を起こした。
「指、濡れてるよ。
なんで濡れてるのかな?」
明かりでてらてらと光る指が、厭らしく舐められる。
「僕これ、知ってる味だなぁ…
パンツも履いてないし、肩紐も落ちて…おっぱい見えそう」
鼓動が速くなる。
引っ掛かっていたもう片方のストラップも落とされ、パサッとネグリジェが床に落ちた。
厭らしさを含んだ瞳が私の中心を見つめ、「おいで」と太腿を引き寄せた。