第21章 起首雷同
八十八橋の調査を初めて早数時間。
結局 手がかりを掴めないまま、22時を皮切りに調査は一度打ち切って明日へと移行することが決定し、俺たち一年三人は新田さんの車で高専へと帰還した。
自室へ戻った後、俺は沸き立つ心情を抑えるように ただ事務的に風呂を済ませ、髪を乾かし、本を開いて、部屋の電気を消した。
そして冷たいベッドへと潜り込もうとした瞬間────抗えない衝動に駆られ、俺は机の上で見ないようにしていた携帯端末へと手を伸ばす。
(…………、)
暗い室内にディスプレイの明かりが浮くと同時に、メッセージアプリにいくつかの新着通知が届いているのが目に留まった。
暗証番号を入れて、ロックを解除して。
浅く息を吸って覚悟を決め、俺は通知の来ているメッセージアプリの画面を開いた。
(………グループと、五条さんだけか)
期待した名前はそこになく、トップに映し出されたのは 一年四人のグループトーク と、五条さん個人とのトークルームだった。
一番上にあるグループメッセージを確認すれば、中身は明日の集合時間に関する業務連絡のようなもの。
人死が出ている以上 早めの解決が望ましいと考えられたため、明日の任務は朝イチからの出発。
……その内容を、今日現場に居なかったナマエへと伝えるようなものだった。
釘崎《ナマエ。明日はアンタもこっちの調査に同行するわよね》
釘崎《一限すっ飛ばしで任務だから、HRもなし。校門前集合ね》
虎杖《苧環って今日の調査内容って聞かされてる?》
虎杖《今日さ、調査で苧環と伏黒の中学行ったんよ。また明日その話しよ!》
釘崎《そうね。伏黒の悪事を派手にバラしてやるわ》
誰も、ナマエが生きていることを信じて疑っていない。
もしくは、疑いつつもその可能性を受け入れられず、それを"メッセージへの反応"という形で必死に確認しようとしている。
既読がつくか、返事が来るか。
どちらでもいい。そのどちらかだけでいいというのに、ナマエは未だグループにも───俺が送った淡白なメッセージにすら、反応を示していなかった。