第2章 傘の内側
柔らかい表情をした無人さんを見つめる。
「目を瞑れ」
「無人さん…ごめんなさい」
無人さんは首を傾げた。
気にしていなさそうだから何も言わずにいたけど、やっぱり嫌だろう。
「血、つきましたよね?
無人さん、汚しちゃった…」
「気にしてない。
……眠れないのか?」
ふるふると首を振れば、「おやすみ」と言われた。
目を細めて返し、瞼を閉じる。
大好き――言葉にするのはまだ怖い。
でも、この人はあの人たちのようにいなくならないと信じている。
だから、私が好きになっても大丈夫な人…。
無人さんの息遣いを感じて、ゆっくりと微睡みに落ちていく。
心地良い…もう無人さんだけ私の世界にいてくれたらいいのに。
恐らく、無人さんとは別の思考をし、夢の中でも会えますようにと、小さな願いを心で呟いた。