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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第47章 片道と寄り道


店を出て、伊地知の車を見送ったあと
五条は、隣に立つ紅海を振り返った
「じゃ、僕らも帰ろっか」
『うん』

紅海は素直に頷いた
別れ際まで、七海は紅海の飲酒量を気にしていたし、遊佐もさりげなく「気ぃつけて帰ってくださいね」と声をかけていた

そのたびに紅海は、いつもの調子で笑っていた
五条はそんな彼女を連れ、宿舎のある方向へ歩き出そうとした

そのとき、ポケットの中でスマートフォンが震えた
画面を確認すると、表示されていたのは五条家からの着信だった

「……あー」
五条は、ほんの少しだけ眉を寄せた

『悟?』
「ん…ちょっと電話」

『うん、待ってるね』
紅海を街灯の下に残し、五条は少し離れた場所へ移動した

画面の通話マークをスライドさせる

「もしもし?」
「悟様、夜分に失礼いたします」
聞き慣れた、五条家の人間の声だった
五条は片手をポケットに突っ込んだまま、街の明かりを眺めた

「なに? 僕、今ちょっと出先なんだけど」
「承知しております」

「おいおい、GPSでも仕込んでんの?それとも何?僕の気付かないくらいの手練れの忍者とか雇ってる?」

「………………今後の五条家について…
どうしてもお話ししておきたい事がございまして」

「はぁ…何?」
何さっきの数秒の間…と言いつつ五条は耳を傾ける

「近頃、呪術界全体に不穏な動きが見られます。御三家としても、今後の備えを考えなければなりません」

「うん」

「悟様がいらっしゃることで、五条家の立場は保たれております
しかし、いつまでも悟様お一人に頼るわけにはまいりません
五条家の先々についても、お考えいただきたいのです」

五条は、返事をしなかった

「教師として後進を育てることも、もちろん大切なお仕事です
ですが、五条家を預かるお立場として、家のこともそろそろお考えいただければと」

「……僕、五条家に直に来てる依頼だって、ちゃんとこなしてるでしょ?」
声は軽かった
けれど、語尾には少しばかり棘があった

「それは重々承知しております
ただ、依頼をこなすことと、五条家の将来を考えることは、また別のお話でございます」

「ふーん」

「悟様も、もうお若いというだけでは通らないお年頃です
そろそろ身を固められてはいかがでしょうか」

五条の表情から、笑みが消えた
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