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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第46章 秋の香りと想い


七海と五条の無言の対話が続く
「…はぁ……もう結構です」
七海が折れた

伊地知は二人のやり取りを見て、ますます困った顔になる
「五条さん、あの、わたしも報告書提出しなければいけないですし…」
「うん?だから?」

「だから、というか…」
「五人乗りでしょ?」

「そういう問題では…!」
「ほら、伊地知さんもこう言ってることですし…行きましょう、五条さん…」
遊佐が、さらりと会話に加わった

伊地知が一瞬、救いを求めるように遊佐を見る
しかし、遊佐は穏やかな顔で続けた

「俺も伊地知さんと飲めるん、嬉しかったんですけど
普段なかなか、ゆっくり話す機会もありませんし
色々、話を聞かせてもらおうと思ってたんですけど
…しゃあないですよね」

補助監督として、遊佐は伊地知の仕事ぶりをよく知っている
その苦労を、遊佐は軽く扱わなかった

伊地知は少し驚いたあと、照れたように眼鏡を直した
「い、いえ……私など、そんなに大した話は……」
「いやいや、聞きたいことは山ほどありますよ」
「えっ、そんなにですか?」
「はい」
遊佐は、にこやかに頷いた

その様子を見ていた五条が、横から顔を出す
「由布湯、伊地知のこと好きだねぇ」
「尊敬してるんですよ、からかわんといて下さい」

伊地知の心が揺れる
それを察したのか七海が伊地知に告げる
「解りました、私は構いませんよ…伊地知君が行きたいなら」

「では…皆さん、乗って下さい!」
『イッチー!ありがと』
     
結局、五条たちは車に乗り込んだ
運転席に伊地知、助手席に紅海
後部座席には、七海、遊佐、そして五条
五条が真ん中に収まったところで、七海が無言でわずかに座席の端へ寄った
「……何故」
低い声だった

「久々に、きゅうきゅうに乗ると、高専ん時思い出すんだけど
五人乗りって称してるのに、何でこうも、スペースにゆとり無いんだろうね?」
遠回しに狭さの文句を言う五条に七海が視線のみ向ける
「五人乗りというのは、五人が快適に過ごせるという意味ではありません」

「だってさぁ…もうちょっとこう、ゆとりってものがあってもよくない?」
「でしたら、わざわざ私達を誘わなければ良かったのでは」
「えっ、別にそんなこと言ってないけどなぁ?
七海、昔はもっと可愛げがあったよね?」
「高専時代から、五条さんに対する評価は変わっていません」
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