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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第45章 文化祭とオムライス


『お待たせしましたー!』
紅海が、次の客のテーブルへ料理を運んでいく

『おいしくなぁれ♡』
「もっともっと!」
『え~!?』

紅海が困ったように笑う
『じゃあ……おいしくなぁれ、おいしくなぁれ♡』
「そうそう、それ!」
客は満足そうに笑った

紅海もつられて笑う
『ふふふ……』
その様子を、厨房から五条が眺めていた
別に、気にしているわけじゃない
出し物がメイドカフェなんだから、ああいうサービスがあるのも理解している

紅海からすれば、今日ここへ来た人たちはみんなただのお客さんだ
それに、紅海が誰かに愛想よくしたところで
自分の方がずっと長く紅海の事を知っている

今さら、文化祭の客に少しくらい手を触られたところで、別に…
五条は、オムライスを皿に盛りながら、ちらりと紅海を見る

また別の客に呼ばれている
「お姉さん、俺にも魔法もう一回いい?」
『もちろんですよ!』
紅海は、何の疑いもなく笑った

五条は小さく息を吐く
「……ほんっと、鈍いよなぁ」
「何がですか?」
横にいた伏黒が顔を上げる
「んー?」
五条は、いつもの調子で笑った
「紅海」
「?」

「可愛いしさ」
「…は?」
なんだこの人、生徒にそんなこと言い始めるなよ…

「人の悪意とか、そういうのにも鈍いからなぁって」
あっさり言って、五条は、また皿に視線を戻す…とは言っても視線は目隠しの奥なのだが

伏黒は紅海の方を見る
確かに…本人は楽しそうだ
最初の接客よりも、顔が柔らかくなっている…緊張が和らいだのだろう

だが客の要望も、全部そのまま受け取っている
「…まあ、そうですね」
「でしょ?」
五条は軽く笑う
「本人が楽しそうならいいんだけどさ」

そう言いながら、また紅海を見ると
今度は少し年上の男性客だった
紅海が何かを話して、男性客と笑い合う

「……」
五条は、ほんの少しだけ口元を歪めた
そして、わざとカウンターから声を張る
「紅海~!」
『え?』
紅海が振り向く

五条は笑っていた
「魔法は一人一回までだよ~!
アラサーのMPじゃ、そのペースで魔法かけてたら、棺桶入って引きずられるからね!」
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