第45章 文化祭とオムライス
厨房から虎杖が身を乗り出す
「紅海先生『おいしくなーれ』のやつ!」
『おいしくなーれのやつと言われても!』
伏黒がぼそっと呟く
「そりゃ、そうなるよな」
だから、伏黒は執事役もメイド役も断ったのだから
すると、虎杖が声を飛ばした
「先生ー!こうやって『おいしくなぁれ♡』って!」
『そんな振り付けあるんだ?』
「あるある!」
虎杖が親指を立てる
男性客も笑いながら
「あはは、お願いします」
男性客がオムライスを紅海に向ける
『こ、こう?おいしくなーれ』
紅海が両手のひらをオムライスに向ける
ところが、男性客は
「そうそう…でも、もうちょっとこう……」
と、紅海の腕を軽く取る
『え?』
紅海は驚いたものの、何をされているのかよく分からず、そのまま腕を動かされる
「こうやって、こう」
『……こう?』
「そうそう」
二、三度動かしたところで、男性客は手を離した
『おいしくなぁれ!』
「はぁ……元気出たよ」
『?? そう……なんですか?』
「うん文化祭来てよかった~って思う」
『あ、はい!なら、良かったです』
紅海はよく分からないまま、にこっと笑う
「じゃあ、後でデザートも頼もうかな」
『あ、はい! ありがとうございます!』
紅海は早口で頭を下げ、逃げるように厨房へ戻ってきた
『…む…むり……はずかしい』
「お疲れ、紅海先生」
虎杖が笑う
その様子を見ていた五条が、くすっと笑った
「紅海、頑張ってたね」
『悟!絶対、笑ってたでしょ!』
「笑ってないよ」
『絶対笑ってる!』
「だって可愛かったし?」
『……もう!』
紅海が頬を膨らませる
五条は楽しそうに笑いながら、次のオムライスを仕上げていった