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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第45章 文化祭とオムライス


廊下を歩いていた遊佐は、教室の前でふと足を止めた
中から、聞き慣れた声がしたからだ

「紅海ちゃん、次のお客さんお願い!」
『はーい!』

ここが、紅海ちゃん所の出し物か…
何気なく教室を覗き込む

「…………」
遊佐は、静かに足を止めた

白と黒を基調にしたメイド服姿の彼女が、忙しそうに動いている
いつもの任務服とはまるで違う

けれど、柔らかな雰囲気が不思議なくらい馴染んでいた

「…こ…紅海ちゃん?」
『あ、遊佐くん!』

紅海が振り向く
いつものように、柔らかく笑った
「いらっしゃいませ~、なんて…へへへ」

「……ああ…うん」
返事が、一拍遅れた

遊佐は誤魔化すように眼鏡の位置を人差し指と中指で直す

――可愛い
真っ先に浮かんだ
いつもなら、ここで素直に言える

「似合ってるよ」とか「可愛いやん」とか
その程度なら、別に特別な言葉ではない

なのに
今日は、言葉が出てこなかった

その年齢で、その服
それをこんな自然に着こなすんか
紅海ちゃん…恐ろしい人やで…

……あかん
まともに見たら、余計なことまで言いそうや

遊佐は一度だけ息を整えると、紅海から視線を外した
「……紅海ちゃん所のクラス、メイド喫茶なん?」

『うん、そうなの』
「へえ」

『野薔薇ちゃんが決めたんだけどね、決めた本人は執事服なの』

「そうなんや」
『で、私がさっき急に着せられて……』

「なかなか思い切った企画やな」
『もー、本当!騙されたなって』
紅海が苦笑する

遊佐は頷きながら、決して彼女の服装については触れない
「どこの高専も生徒の人数足りひんね」
『え?』
きょとんと、紅海が目を丸くする
「先生までスタッフに駆り出されるんやから」

『ああ……そういうことか』
紅海がくすっと笑う
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