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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第44章 おいでとさぼり


浅葱は苦笑する
「珍しいなと思っただけさ」
『……』
「紅海が自分からどこかへ行くなんて、今までなかったからね」
紅海はしばらく黙っていた

今日あったことを思い出すと、少しだけ顔が上がった
『今日ね……』
「うん?」
『変な男の子に会ったの』
「男の子?」
浅葱が紅海を見る

『うん。同じくらいの子』
「へぇ」
『その子ね、呪霊を消しちゃったんだよ!』
「……呪霊を?」
浅葱の足が、一瞬だけ止まりそうになる
『うん!』
紅海は小さな手を振りながら話す
『わたしのところに、呪霊が来てね』
「……」
『おいで、おいでってしてたの』
やっぱり1人にするんじゃなかった…
今、無事にいるのは奇跡なのかもしれない…
浅葱は紅海には直接言いはしないが…改めて反省する

「それで?」
『だから、近くに行ったの』
浅葱の眉が少し上がる
「……近くに?」
『うん』

「紅海」
『……?』
「それは、知らない呪霊について行っちゃいけないよ
いや、知ってる呪霊に付いてくのもイケないんだけどさ」

『……うん』
しゅん、と紅海が俯く

「怒ってるんじゃないよ」
浅葱は繋いだ手を握り直した
「ただ、危なかったんだ」
『……うん』

「それで、その男の子が助けてくれたのかい?」
『そう!』
紅海の顔が、また明るくなる
『すごかったよ! こうやって――』

小さな手を振る
『ばーんって!』

「ばーん?」
『呪霊が、ぶわーって飛んでいってね』
身振り手振りを交えながら説明する

『それで、もう一回やって、消しちゃった!』
「……そうかい」
浅葱は笑いながら聞いていた

『でもね、わたしが「かわいそう」って言ったら、変な顔してた』
「ははっ、そりゃそうだろうねぇ」

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