第44章 おいでとさぼり
『……』
「いくら探しても見つからないから……」
そこで浅葱は一度、言葉を止めた
紅海の頭に頬を寄せる
「あんたまで、いなくなったらって…怖かったよ」
『……ごめんなさい』
「うん」
浅葱はすぐに責めなかった
「帰ってきてくれたから、それでいい
いや、あんたを一人にした私が悪い」
抱き締めたまま、浅葱は紅海の背中を撫でる
こうやって、自分の事を大切に思い、抱き締めてくれている
それなのに、この場所を離れてしまった
申し訳ない思いでいっぱいになった
『……』
紅海は、浅葱の服を小さな手でつまんだ
「どこへ行ってたのかは、あとでゆっくり聞こう」
『うん……』
「まずは……」
浅葱は紅海の顔を覗き込む
「怪我はないかい?」
紅海は首を横に振った
『ないよ』
「そうかい、それなら良かった」
浅葱は、ようやく少しだけ笑った
紅海は黙って、もう一度浅葱の胸に顔を埋めた
さっきまで楽しかった
ゲームも面白かった
知らない男の子とも遊んだ
けれど
こうして抱き締められていると
やっぱり、ここが一番落ち着く
『……お祖母ちゃん』
「ん?」
『……ただいま』
浅葱の手が、一瞬止まった…そして
「……おかえり、紅海」
今度は、さっきよりずっと優しく紅海の頭を撫でた
紅海は、浅葱と手を繋いで歩いていた
小さな手を、浅葱の大きな手が包んでいる
さっきまでの不安は、もう少しずつ消えていた
しばらく歩いたところで、浅葱がふと口を開く
「ところで、どこに行ってたんだい?」
『……』
「あんた、他所に行くような子じゃないだろ?」
紅海は俯いた
『……ごめんなさい』
「だから、怒ってるんじゃないんだよ」