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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第43章 付添いと弁当


七海が周囲を見る
「ここが噂の?」
『うん“呪いの演習場”ここ、結構広いんだよ』
紅海は振り返って笑った

名前だけ聞けば物騒だが、実際には高専が管理している訓練区域の一つだ
山の奥に張られた結界…その内側で、なぜか呪霊が発生する
原因は完全には分かっていない
だからこそ、学生の実地訓練にも使われている

夜蛾が足を止めた
「ここから先が演習区域だ」
空気が少し変わった
見えない境界を越えるような感覚

夜蛾は二人を見る
「今日は実戦を想定した訓練だ、呪霊の等級は事前に伝えてあるが、実際の現場では予定通りに事が進むとは限らん」
七海が頷く
「はい」
灰原も背筋を伸ばした
「分かりました!」

夜蛾は紅海を見た
「流鏑馬…」
『はい』
「今日はお前が二人を見るんだ」
『はい』
一年生たちを見る

そして、少しだけ表情を引き締めた
『私が全部やっちゃったら意味ないからね
危ない時は助ける…でも、それ以外は二人にやってもらう
実際の任務でもそうだけど、呪霊が一体とは限らないからね』
紅海はそう言って、柔らかく笑った

指を一本立てる
『目の前の一体だけじゃなくて、周りもちゃんと見ておくこと』
もう一本
『今、自分がどれくらい呪力を使ってるか』
さらに一本
『自分の戦い方が、どういう状況に向いてるか』
七海と灰原は黙って聞いている

紅海は二人を見回した
『自分の呪力量とか、戦い方とか…そういうのを知れる機会になると思うから』
少し間を置いて
『意識しながら祓ってみてね?』

「はい!」
「分かりました」
灰原と七海は、それぞれ真剣に答える

夜蛾が踵を返す
「昼までに一度、状況を確認する、何かあればすぐ連絡しろ」
紅海が頷く
『はい』
「無理をする必要はない」
そう言い残して、夜蛾は一度山道を戻っていった

完全に離れるわけではない
演習場の外側で待機し、何かあればすぐ対応できる位置にいる

紅海はその背中を見送ってから、二人に向き直った
『じゃあ、行こっか』

最初に遭遇したのは、低級の呪霊だった
灰原が先に動く
「いた!」
勢いよく踏み込む
しかし―
『灰原、右!』

灰原が反射的に横へ跳ぶ
直後、背後の木の陰から、もう一体
「えっ!?」
『一体じゃないよ』
紅海は手を出さず…ただ、見ている
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