• テキストサイズ

【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第37章 都と帳


両掌を胸の前で合わせる
指先がゆっくりと印を結ぶ


ーー領域展開ーー

じしょうのゆるかせ
《《 慈 掌 緩 枷 》》

世界が静かに塗り替わる
保田の瞳が揺れた
「……領域…」

構えようとするが、紅海が迷わず、保田の間合いに踏み込んだ
攻撃をするかと思われた、その紅海の手は
そっと…保田の変異した右手を、両手で包み込んだ

「な……」
保田の呪力が途切れる
暴走していた呪力が、水を打ったように静まり返る
黒く変質していた腕が、その場で止まる

「何をした……!」
『保護しました』
紅海は息を乱しながら答えた

『この領域は、護るための領域です…護られている間は、呪力を使えません
でも、その代わり…あなたは誰からも傷付けられないし、身体の状態は悪化しない』

保田は呆気に取られる
呪霊化も、それ以上進んでいない

紅海は周囲を見回す
維持条件……
この領域は、術者が対象の敵と戦い続けていなければ効果は維持できない
敵は保田ではない…
なら…紅海は足元へ突き立つ黒い釘へ視線を向ける
『……これなら…敵と認識して…』

呪具を構える
『あなたを守ったまま、戦える』

その切っ先が、帳の核である釘へ向けられた


一方、その頃
現地指揮所

遊佐の元へ、メカ丸が戻ってくる
「メカ丸」
遊佐が息を呑む
「どないしたん?」
メカ丸は数秒黙ったまま答えた

「……戦闘不能。」
「流鏑馬先生が、一人で中心部の呪詛師と交戦している」
遊佐の表情が変わる

「紅海ちゃんが……?」

その時、無線へ別の声が割り込んだ
《《由布湯…》》

五条だった
いつもの軽い声

《《外側の術者、及び帳を維持する呪具を見つけた、今から帳ごと壊す》》

遊佐はすぐ頷く
「了解です!」

改めて無線を持ち遊佐は告げる

「各班へ通達、外側の帳が壊される…一般人の退避誘導を最優先…次に呪霊を取り零し無いようにしてください」
無線の向こうで、一斉に返答が返る

遊佐の視線だけは、静かに清水寺の方角を見つめていた


五条が右手を軽く掲げる
京都市街を覆っていた外側の帳の一点が、大きく揺らいだ

次の瞬間…術式が閃く
帳の核となっていた呪具は跡形もなく砕け散り
それを維持していた呪詛師も、衝撃と共に地面へ崩れ落ちた
/ 405ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp