第35章 外出と神社
七海もこちらに気付く
少し目を見開いた…そして歩みを止める
「流鏑馬さん」
『お、お疲れ様』
七海に近寄る
「お疲れ様です」
「……」
無言になる
「七海に聞いてみな?」
と言われた後に本人が現れ偶然過ぎて思わずクスクス笑ってしまう
少しは周りを頼ってみな?
硝子の声がよぎる
「どうですか?その後……引っ越しして」
七海が書類を抱えたまま尋ねる
紅海は少し苦笑する
『あはは……無事に監視されてます』
生徒たちに聞こえないよう、小さな声で言う
七海も少しだけ声を落とした
「隣に五条さんがいますからね。息苦しく感じていませんか?」
『ふふっ…意外に、悟って干渉してこないんだよ?』
「本当に意外ですね」
『ね?』
紅海は少し考えるように視線を上げた
『七海に茶々いれるのは、七海の事、構いたくなるからだよ……多分
それに、私がそうだし』
七海が僅かに眉を上げる
『自分には関係ないって態度を取るのに優しいところとか』
小海は、一つずつ指をおる
『自分からは極度にコミュニケーション取らないのに、向こうからコミュニケーション取られたら逃げられない所とか』
そして、顔を上げる
『そういうの見てると、つい構いたくなるんだよね』
七海は数秒黙り……それから、静かに口を開く
「……それは」
『うん?』
「あなたも同じですよ」
『え?』
「自分では距離を取っているつもりでも、誰かに声を掛けられたら放っておけない」
指を1本ずつ立てて紅海に向ける
「困っている人がいれば手を貸す」
「それでいて、自分が困っている時には、誰にも頼らない」
紅海がきょとんとする
「だから、五条さんも、家入さんも、私も……あなたを放っておけないんでしょう」
七海は淡々としている
『……』
思いも寄らない言葉だった
責めているわけでも、慰めているわけでもなく、紅海の胸にすとんと落ちる
『……そっか』
「ええ」
そして七海が話題を変えるように言った
「そう言えば、任務外で高専外へ出るには、五条さんの付き添いと聞きましたが……それこそ大変でしょう?」