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【第五人格】灰色の世界を抜けて

第4章 IV


しばらく二人で黙って食べ続ける。

普段なら無言の時間も大して気にならないのに、今日は違った。

自分の心臓の音が、やけにうるさく聞こえる。

「……さん」

ジャックの声に顔を上げる。

「心配はしましたが……怒ってはいませんよ」

少し間を置いて、彼は言葉を続けた。

「なので、そんなに……萎縮しないでください」

背中を、優しく撫でられる。

自分で思っていた数倍、力が入っていたらしい。

一気に緊張が抜け、体がふっと楽になる。

『……ごめん』

それ以上、言葉が見つからず、食事に逃げた。

「私が…怖いですか?」

低い声に驚き、思わず顔を上げる。

「……すみません。今する話ではありませんでしたね」

気まずさから、また視線を落とす。

食べ終わり、ジャックが食器を持ち上げた。

「片付けてきますね」

『私も行く』

立ち上がると、彼が少し驚いたような顔をする。

『なに?』

「……いえ。一応、安静にしておいた方が良いのでは?」

『平気だよ』

自分の分のお盆を持ち、立ち上がる。

『行こ』

ドアを開け、先に行くよう促した。

「……無理はしないでくださいね……?」

『過保護だよ』

おかしくなって、思わず笑ってしまう。

「貴女は……私とは違うんですから」

『……分かってるよ』

ひょいと、お盆を持ち上げられる。

「やっぱり待っていてください。冷えてしまいますから、窓も開けないで」

返事を待たず、彼は出ていってしまった。

本当に、人の話を聞かないんだから。

ベッドに倒れ込み、天井を見つめる。

暖かい……ふかふかで、
なんだか、瞼が重く……。


……


ふと目を開けると、ジャックが私の頭を撫でていた。

「おはようございます」

『……やだぁ、寝てた?』

「貴女は本当によく眠りますね」

伸びをしながら起き上がる。

話し合う予定だったのに、寝てしまうなんて間抜けすぎる。

『何時間くらい寝てた?』

「一時間もありませんよ。気にしなくて大丈夫です」

彼の指が、髪の隙間をゆっくりと通っていく。

『ごめん。……話そっか』


暖炉の火の音が、静かに部屋に響いていた。
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