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淫夢売ります

第44章   オートマータ


「いらっしゃいませ・・・奥にお入りください」
奥から女性の軽やかな声がした。一瞬店内の若干不思議な雰囲気に呑まれかけていたが、その声で三人ともホッと安心する。

優里がカーテンをめくると、そこには長い絹のような黒髪をたたえた、色白の美しい女性が座っていた。白のブラウスに黒いリボンをあしらっている。下は黒のフレアスカートで私と同じような白黒ファッションにも関わらず、なんというか、とても『きれい』だった。

「おや・・・お3人様ですね・・・皆様、はじめまして、ででしょうか。私はここの店主でユメノと申します。・・・本日のご用向きは何でしょう?」
ユメノがにこりと笑う。その笑顔にドキリとする。それは、美しかったから、ではなく、その目があまりにも黒く、まるで人形のようだと感じ、一瞬、怖いとすら思ってしまったからだ。

「夢って・・・買えるんですか?」
優里が言ったその言葉で、私ははっと我に返る。優里の横では、亜希子がニヤニヤと興味深そうな笑みをこぼしていた。
狭い店内なので、三人並ぶわけにはいかない。私だけ二人より後ろに立っている形だ。二人は、ユメノのあの目に気づいていない?それとも、あれは私の見間違いなのだろうか?ふたりの身体の隙間から見えるユメノの顔をもう一度見てみる。

あれ?

ユメノの目はなんということはない普通の目だった。
やっぱり見間違いだったのだろうか?

「はい、ご購入できますよ。ただ、大変プライベートなものですので、3人様同時というわけにはいきません。お一人ずつでいいですか?」
ユメノが言った。
それはもちろん構わない、ということで、相談の上、優里、亜希子、私、の順でユメノと話をすることになった。優里が話している間は、私と亜希子はカーテン手前のスペースで待っていることになる。

特に椅子などがあるわけではないので、ぶらぶらと店内を見るだけだ。特に広いわけでもない。ディスプレイされているのは、どうやら占い関連の道具のようだ。値札がついているところを見ると、これも売り物らしい。占い関係の書籍や、小さい水晶の玉、タロットカードなんかもあった。あとは、木の板や石によくわからない文字が彫られているものとかが売られている。亜希子はイラストを描いているだけのことはあり、図版のような本を手に取るとパラパラとめくっていた。
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