【ワールドトリガー】Tone in full glory
第2章 ボーダー
その日。
カノンは忍田に本部内を案内して貰っていた。
「隊員はここで、自由に訓練できるようになっている」
なるほど。
点数を競い合うことで、いい刺激になるし。
より高みを目指したいものは奮起するだろう。
よく考えられたシステムだと感心する。
「勇吾さんが考えたらしい」
忍田の言葉に少し目を開く。
明朗快活で。強い、ひとだった。
「そうですか」
沢村が案内しましょうかと言ったが。
私と共に回った方が、近寄り難いだろう。
そんな忍田の配慮で、行動を共にしていた。
思ったよりずっと。
気を遣ってくれている。
玉狛の林藤たちも。
近界民だからという差別はない。
「直属の嵐山隊だ」
ボーダーの認知を促すために広報も兼ねている。
説明がおわり、隊長の嵐山が一歩前に出る。
「嵐山です」
手を差し出され、握手する。
始めまして、と挨拶を。
時枝、木虎が名乗り。
今 席を外しているが、
スナイパーの佐鳥という者もいると聞かされる。
「で、どういう経緯なんです?」
「実はだな、」
「…………そうなんですか、」
「ああ。話し合いの結果、空閑の姉ということでまとまった」
遊真の姉。
つまり、近界民。
わかるひとは、それだけで察する。
木虎と眼が合い。
遠慮がちに笑って見せたが。
眼を伏せられる。
「…………、」
近界民と戦っているのだ。
当たり前の感情だろう。
むしろ。
忍田らが人間として出来すぎているのだ。
「では、行こうか」
「はい」
忍田に促され、部屋を出る。
時枝は木虎に、態度について少しばかり意見した。
「別に。睨んだり、してませんよね」
「それはそうだけど」
「木虎は良くも悪くも素直だからな」
そのあと。
忍田は数名、話かけてくる者たちに説明し。
この辺にしようかというところで言った。
「すまないな、」
「平気です」
近界民に肉親を奪われた者もいると。
自身もそうなのだ。
何も、言えるわけがない。
「君のように。きちんと受け入れてる者もいるんだが」
ひとの感情とは。
そんな単純ではない。
カノンは黙って頷く。