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【ワールドトリガー】Tone in full glory

第5章 欲しいもの





拍手されている手前、
会釈しながらギターを戻していると。
そのなかのひとりが知った顔であった。


「隠岐くん」


CDでも見ようかとふらっと立ち寄ったら、
なんや人が群がってるから。
誰が弾いてんのか思いました。


「話には聞いてましたけど。ほんま、上手なんですねえ」


面と向かって褒められるのは、照れる。
ああ、ありがとう。
もじもじしていると、
横から声を掛けられる。


「何か、やってる方なんですか?」


即興で作ったんですか?
バンドやってるとか。


男性らに立て続けに話かけられ、困惑していると。


「すんませんねえ、このひと借ります」


隠岐に手を引かれ、逃げるように店を出る。
しばらくそのまま、歩いたあと。
隠岐ははあ、と溜息をついた。


「空閑くんのいうこと、ようわかったわ」


うまいことゆうたら、ついてきそうやし。
ひとがいいゆうか、世間知らずすぎるゆうか。


くどくどと呆れたように言われ。
ああ、これは私が悪いのか。
そう思い、謝ることに。


「ごめんなさい」


しゅん、とした様を見て。
ああ、と頭をわしわしする隠岐。


「ちゃいます。カノンさんが悪いわけじゃ、」


これ以上言ったところで。
隠岐は強引に話を終わらせる。

本部戻るんやったら送ります。
そう言われ、頷く。


歩いていると、
店先に並んでいる自転車が見えた。
サイクルショップであった。


「欲しいなあ、」


ちりん、

ベルを鳴らしてみる。
高く耳に通る音を聞き。
顔を緩ませ、ハンドルに手を伸ばす。


「…………、」


生駒が色々ぼやくのも、わかる。
世話を、焼きたくなるのだ。
目を見て。話を。
聞いて欲しいと。


「買っちゃおうかな」


自分のなら、思う存分練習できる。
転んで多少歪んでも気にならない。


「乗れないんなら、教えますよ」
「えっ、教えてくれるの?」


そんなん、当たり前ですやん。
隠岐の言葉に後押しされ。
悩んだ末、オレンジ色の自転車を購入。



自転車を引き、本部へ向かう。





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