【ワールドトリガー】Tone in full glory
第5章 欲しいもの
その日の夜。
布団に入り、考えてみる。
欲しいもの、
欲しいもの…………。
大学にて。
欲しいもの、考えたよ。
月見に会い、報告することに。
「そう。なあに?」
「ええと、家」
「……………………」
あまりの大きなブツに、
その辺にいる者はフリーズ。
それを知ってか、知らずか。
カノンは遠慮がちに、続ける。
誰の邪魔にもならない場所で。
ピアノや、チェロ。
沢山の楽器に囲まれて。
好きな時に、唄って。
眠くなったら、寝て。
そんな、毎日が。
もし、送れるならば。
どんなに。
「………幸せだろうなあ………」
突如。
加古に抱きしめられる。
「うちでいくらでも、やっていいわよ?」
ピアノくらいなら、あるから!
加古はそこそこお嬢様なのだ。
「え?や、自分ひとりのいえを、…………」
「あとは、楽器ね」
「私も聞いてみるわ。ギターくらいならどうにか」
「あの、はなしを、」
もはや誰も聞いていない。
LINEで一斉に呼びかけたらどうか、
掲示板に書き込んでみれば。
どんどん勝手に話が進んでいく。
「諦めろ」
後ろから。
頬杖をついた諏訪が呆れ顔で口を挟む。
完全にこいつらのおもちゃにされている。
いや、ペットか。
まあ、可愛がりたいだけなのだろうが。
「…………叶うといいな」
風間が。目を伏せたまま呟く。
すこしだけ、口元を緩ませて。
振り返ると。
素敵な夢だね、と来馬が言い。
堤や柿崎も、笑顔で頷いていた。
「…………はい」