【ワールドトリガー】Tone in full glory
第1章 再会
本部。
会議室には、司令官、本部長含め。
いつもの重鎮たちの姿が在った。
「それを渡して貰えれば問題ない」
城戸司令官のひとこと。
まあ、想像通り。
それしか言うことないんだね、と遊真は呆れていた。
「待ってください。彼女はこちらに何の敵意も、」
「当たり前だ。そうでなかったら、問答無用で幽閉させとるわ」
修の弁明に、鬼怒田開発室長が渋い顔で突っ込む。
「彼女は空閑の知り合いですし。必要があれば協力してもらうってことでどうでしょう」
渡すことはしなくとも。
研究に役立てることは出来るでしょ。
林藤の言葉に、うむぅ、と鬼怒田が唸る。
「逆に聞くが。何故渡さない選択肢がある」
「彼女の、母親のものだからですよ」
「…………、」
皆、押し黙る。
それが、どういうことなのか。
わかっているからだ。
「ーーーーーそれは気の毒だが。彼女だけではなかろう」
「城戸司令!そんな言い方ないでしょう」
忍田本部長が声を上げる。
肉親の形見のようなものを、
そんな簡単に手放せるものかと。
情に厚い彼は、全面的に林藤の味方をする。
根付室長は、他の隊員に有効的に使わせたほうが、
ボーダーのためになるでしょうと。
城戸司令官に従うべきだと言い。
唐沢営業部長は、
まず彼女の意志を先に聞くべきでは。
話はそれからでしょう。と、
あくまで中立の態度を示した。
「…………、あの」
ずっと黙って聞いていたが。
やはり、わかっていない。
カノンは息を吸い、そして吐き。
ゆっくりと、口を開く。
「おそらくこれは、他の人には扱えません」
この笛を奏でることは、自分にしか出来ない。
アフトクラトルで、既に実証されている。
「そんなことが可能なのか」
「理由は、わかりません。ただ、…………」
「カナエさんのだから。だよね、きっと」
空閑は。
カナエ、カノンの母親が、元々音楽家であったこと。
カノンがよく歌っていたことを伝える。
「それは、カノンさんのものだ。誰にも、遣う権利なんてない」