【ワールドトリガー】Tone in full glory
第3章 ノーマルトリガー
小走りに。廊下をかける。
泣くな。
こんなことで。
私が泣いて、どうなるというのだ。
ピリリリリ
突然鳴り響く電子音に、立ち止まり。
スマホを見る。
「カノンさん?あのさ、今度―――――」
「ゆ、…………っ」
涙が。
溢れた。
その場で。
しゃがみ込む。
「遊真く…………っ、うっ、」
「…………、カノンさん?」
泣いてるの?
泣いてない………っ
つまんない嘘つくね。
カノンは。
今まで律していて、
大人びていたのが嘘のように。
泣きじゃくっていた。
「………俺、こういうのだめだ」
「…………、」
もらい泣きする者。
目を逸らし、立ち去る者。
同情の目を向ける者。
様々であった。
沢村が走ってきた。
話がいったのだろう。
カノンを起こし。
抱くようにして、歩いて行く。
本部長室。
泣き疲れたんでしょう。
寝ちゃいました。
沢村はそう言った。
「―――――そうか」
ここにはいろんな境遇のものが居る。
全ての人間の動向、
言動を律することは出来ない。
しかし。
やりきれない思いは―――多々、ある。
「彼女は、思うほど大人じゃないからな」
大人にならざるをえなかっただけ。
頼れる者が。
誰もいなかっただけだ。
「悲しい、ですね」
もっと、気に掛けるようにします。
ああ、すまないが頼む。
プルルルル
「忍田、いまいいか」
林藤であった。
遊真に言われ、電話してきたようす。
経緯を説明し、電話を切る。
玉狛支部。
「…………、だからやだったんだ」
ここなら。
理不尽な敵意を受けることもない。
昔のように、穏やかでいられたはずなのに。
遊真は珍しく。
怒りをあらわに吐き捨てた。
「そう、怒るな」
林藤は、遊真の頭をくしゃっと撫でた。