【ワールドトリガー】Tone in full glory
第2章 ボーダー
黒トリガー。
その威力は、実証されている。
一部の者は、録画されていた映像を見ている。
それが、彼女にしか遣えないというなら。
上層部が最大限バックアップすることは、
至極当然ということも。
屋上。
加古が防衛任務へ向かい。
ひとり、街を眺めていた。
「…………」
見慣れない景色。
いつか。
故郷の風景が色褪せるのか。
アフトクラトルにいる、同郷のみんな。
救うことが、出来るだろうか。
遊真、レプリカのこと。
考えることは、沢山ある。
胸元にあるネックレスを握り。
想いを馳せる。
屋上には誰もいない。
今ならば。
カノンは、唄う。
母国の歌を。
何千、何万と。
母のピアノを聞きながら、唄った歌。
ずっと、忘れていた涙が。
頬を濡らした。
「…………っ、」
儚い命。
戦争。
すべてを憂うように。
カノンは唄う。
空の彼方。
もう亡き母に。
どうか、届いて欲しい。
そう願って。