ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第22章 第二十二話
「えーっと、どこから説明したらいいのかしらね。数日前から、ユラちゃんがうちに、自分に似た女の子を探しに来てたのよね」
ユラくんは、ジッとシオを見ながら頷く。
並んでみるとますます似ている。
「噂を聞きまして。私に似ている女の子がこの町にいると…。何かの手掛かりになるかと思い、訪れました」
「え?え?もしかして、シオの本当のパパなの?おにーさんが?」
シオはレイニーさんの膝に乗りながら、身を乗り出して聞いている。
「…それは…」
ユラくんは少し、いや、非常に困惑した表情を浮かべている。
「私も、貴女の存在を初めて知りまして…すみません…」
「えー」
シオも困ったような表情を浮かべている。
「シオのこと。黙っていてくれませんか?ラドクリフ様に…」
私は懇願するしかなかった。
その様子を見て、
「できないのなら、俺がこの場で…」
とセカが脅すように言う。
「ちょっと、アンタたちは早とちりなのよ!しかもその解決方法やめてちょうだい」
ここでレイニーさんが止めに入る。
「もう、ママとセカおじちゃんは黙っててよ!!!」
シオも怒ってテーブルを叩いた。
「シオ…さん。私が貴女の父と名乗っていいのか、貴女が許すのなら…」
ユラくんはおずおずと名前を呼び、シオに言った。
「だって、そうなんでしょ。似てるもん。事実だもん。ま、シオのパパはレイニーちゃんだけど」
「え?あたしをパパだと思ってるの!?うれしいけど、複雑…
」
せめて、ばぁばがよかったわ、とレイニーさん。
「私は、シオさんのことも、シアンさんのことも、ラドクリフ様に報告するつもりはありません」
ユラくんは、そこはきっぱりと言ってくれた。
私とセカは眼を合わせてホッと胸を撫でおろした。
「でも、私のこと探してたのは、ラドクリフ様の命令じゃないの?」
一番の疑問をぶつけた。
だって、そうじゃないとおかしいもの。それ以外に、なぜ私の行方を探す?
「貴女が心配だったからですよ…」
私のその疑問に、ユラくんは深いため息をついた。
「え?シンパイ…ですか?」
「自分の妻が、謎の男に攫われたのを見て、心配しないわけがないでしょう」
「でもでも、もう七年以上経ってるし…」
「時間は関係ないですよ」
ユラくんは少し安心したのか、脱力している。