ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第20章 第二十話
声を出せずに困っていると、セカは
「シオは、魔法使いになりたいのか?」
とシオに聞くと、シオは間髪入れずに
「シオ、魔法使いだもん」
と答えた。
「そうなのか。魔法使いは、この国ではそんなにいいものじゃないぞ。貴族や王族に使われて…」
「そうなの?でも、冒険者になるには、『魔法使い登録』ってやつをするんでしょ?私、冒険者の魔法使いになりたいの」
そう言って、シオはいい笑顔を浮かべた。
「ファフニールではどのような制度を取っているかは知らないが…魔法の力はさまざまな人物が狙っている。それは覚えておいたほうがいい」
セカはそう言ってそれ以上その件については何も言わなかった。
しかし、シオにはあまり響かなかったみたいで、ずっと魔法の話ばかりしていた。
やっぱりシオは冒険者登録を、いつかさせたほうがいいのかなぁと私は悩みながら思った。そのために、どのような制度が魔法使いにあるのか調べないと。
皆知らないということは、貴族の中でも秘匿とされているのかもしれない。
私はセカの前で声を出せずにいたが、シオがずっと話続けていたので助かった。
しかし、セカが私に突然聞いてきた。
「シオのお母さん、ヨアンさんだったかな?ヨアンさんは、どう思っている?」
私は答えに困ってしまった。声を出してもばれないだろうか。もう8年近く前のことだし。
「シオと相談して決めます」
とだけ答えた。
「……」
その言葉を聞いたセカは、少し考えるような仕草をしていた。
「あの、顔をよく見せてくれないか?」
「!!」
こちらに一歩近づいてきたセカに合わせるように、私は一歩下がった。
「ママ?」
シオも、私の様子がおかしいことに気づき、覗き込んでくる。
「…シアン、か?」
私が何も言えずに俯いていると、セカは言った。
「…お人違いです」
私は顔を隠したままそう言うと、
「…そうか…」
セカはそれ以上何も言ってこなかった。
少しホッとした。
その後、セカと別れ、全員冬服を購入し、宿に直行した。
「おふろおふろおふろ…」
私はさっそくお風呂に入ることにした。
「ママって、ほんとお風呂大好きだね!シオは入らなくてもいいもーん」
「ダメ!!体が冷えてるでしょ!!」
そう言ってシオを引きずって大浴場までやってきた。