ぐうたらの私が異世界で帽子屋(マッドハッター)になる
第16章 第十六話
「将来のため?貴族の特権を、私たちが使えることが分かったら、彼らはどう思いますか?私は恐ろしい」
「「……」」
二人は黙ってしまった。
シオも、居心地悪そうに黙っている。
「『私たち』ってことはもしかして、お母さまも、魔法を使えるんですか?」
まずい、失言だった。
「え?ママも魔法使えるの?」
私は、シオの前で、一度も魔法を使ったことがなかった。
「…大した魔法は使えませんが」
否定はしなかった。
「お母さまが、何をそんなに恐れているのかわかりませんが…私たちには、魔法使いが必要です。誰かに言うつもりはありませんが、協力してもらえませんか?」
とレイチェルさん。
「協力?私たちはなにもできま…」
「なになにーー!?」
我慢して黙っていたシオが、こらえ切れず身を乗り出してきた。
「こら、シオ。今、大人の話をしているの。黙ってて」
「やだよ。だって、ママ断っちゃうでしょ!私の話だもん」
そう言って、シオはレイチェルさんのもとへと行った。
「私たちは普段、ギルドで登録している魔法使いにお願いして冒険しているのだけど、…折り合いが悪くて。ほら、貴族の方ってみんな横柄じゃない?
そのせいで、今回は魔法使いを入れずに依頼をこなしたんだけど…やっぱり大変でね」
「へえ、お貴族様っておうへいなんだね」
分かってるんだか、わかってないんだか。シオはオウム返しした。
「そこで、シオちゃんに、一緒に来てほしいの。ダンジョンで、魔物退治なんだけど…」
「ダンジョン!!魔物退治!!絶対行きたい!!!」
「そんなの絶対だめです。危ない」
二人の会話に、私も割って入る。
…ただでさえ怪我の多い子なのに。
「シオちゃんのことはちゃんと守ります。シオちゃんには後衛…後ろから魔法で攻撃してほしいの」
「後ろから攻撃!やってみたい!!」
二人は話が盛り上がってしまい、徹底的に断ることができず、私も同行することで話がまとまった。
こうして、三日後、私たちは近くのダンジョンに行くことなった。