第7章 禪院と事情
直毘人の話を聞いて直哉はゆっくりと口角を上げた。
「最初から、仁美にそれは求めとらん。」
仁美は禪院家の相伝を継ぐ子供を産むことは難しかった。
自身が術式を持っていることと、その術式が希少だからだ。
直毘人と直哉が使う投射呪法は、禪院家の中でも浅い相伝術式だ。
禪院家の中でも十種影法術が古くから禪院家の相伝術式として認められている。
仁美が産む子供の術式は返命か縁火の可能性が高い。
投射呪法はおろか、十種影法術は絶対に持って産まれることはないだろう。
そして返命と縁火を持って産まれたとしても、仁美と同じ消耗するだけの術式だ。
仁美のように、反転術式の使い手ではないのなら、その術式さえまともに使えないだろう。
直哉は初めから、仁美との子供に期待はしていなかった。
「せやから、俺と仁美のことに余計な口出しはすんな。仁美のことは、俺が決める。」
直哉はそう言うと立ち上がり、直毘人の座敷から出て行った。