第7章 禪院と事情
仁美が嫁いできてからの、割りの良い案件。
財閥達への大きな人脈。
直哉にとってはどちらも、禪院家で自分の力を誇示するには必要なモノだった。
それでいて、直哉は仁美を気に入っている。
この禪院家では到底受け入れられないあの気の強さも。
直哉は仁美だったら許せるくらいに。
(ほんまに仁美ちゃうかったら、親父に頭下げにくるなんてありえへんで。)
直哉は彼に見えない様に、目の前の直毘人を睨んだ。
思い返せば、何故自分がこんなことをしているのか。
考えれば考えるほどイライラするが、ここ数日の仁美の様子がまぁ可愛かったので。
直哉の機嫌はそこまで悪くならなかった。
「返命も縁火も、これからは俺が運用する。親父や言うても、勝手に切るんは許さへんで。」
直哉の声色が一段下り、直毘人はやっと直哉を見た。
真っ直ぐに見てくる直哉に、直毘人はおかしそうに笑った。
「…あの娘はな…。跡取り産むんには使えないぞ。それを分かってて囲むというなら、そっちの方が消耗品扱いだな。」