第7章 禪院と事情
それが仁美にとって屈辱的な立場になっても、もはや直哉から離れる選択肢は仁美に無かった。
次の禪院家当主になるのが彼の望みなら。
自分に出来ることはなんでもしてあげたかった。
ーー
ーーー
ーーーー
直哉は禪院家の回廊を歩いていた。
向かう先はそう…。当主直毘人だ。
直毘人が居る部屋に通され、女中が襖を開ける。
酒の匂いが一気に外気に触れた。
その匂いを嗅ぎながら、直哉はゆっくり笑って直毘人の正面に座った。
直哉を確認してゆっくりと直毘人が酒を口に付けたところで、直哉は声を出した。
「仁美可哀想やで、ずっと起きられへん。」
ため息混じりに言う直哉の言葉に、直毘人は口角をあげて笑った。
「息子の嫁殺そうなんて酷い話やな。俺を男やもめにする気なん?」
「あの程度で死ぬなら、どのみち禪院家で生き残ることは無理だ。」
直哉の言葉にもバッサリ切る直毘人に、直哉は肩を掠めた。
「せやけど神戸のお嬢様やで?俺のメリットも考えてくれへんかなぁ。」