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たまのケージ【ヒロアカ】

第16章 Drastic medicine(緑谷出久 ホークス)


繭莉は俯いて小さく首を左右に振った。

「私……私が好きなのは……」
「じゃあどうしてホークスとセックスしたの?」

僕の質問に、弾かれたように顔を上げるとうっすらとその目に涙を浮かべて僕の方を見つめてくる。

「っ!……先生、どうして……」

 ああ。

「この間、偶然ホークスに会って全部、聞いたんだ」

 僕って、ヤバい奴かな。

「……せ、せんせ……」

 こんな、泣きそうな顔の繭莉すら、可愛いななんて思ってしまえるんだから。

「だから、全部知ってるんだ。繭莉とホークスの事」
「……」

言葉を失って立ち尽くす繭莉と一気に距離を詰めると、ついに彼女の目から涙が零れた。

「好きなんでしょ?……ホークスの事」
「……わた、し……」

手の甲で涙を拭いながらしゃくり上げる小さな身体を、いつものように抱きしめたくなった。

だけど、今するのはそんな事じゃないのは分かってる。

今、するのは繭莉の口から真実を聞く事だ。

「私……怖い……」



どうして、こんな事になったのか。



「何も、感じなくなるのが怖い……」

涙声が、静かな教室に控えめに響く。

「……昔ね、好きな人がいたの」

繭莉の口から、ぽろぽろと言葉が零れ落ちる。

「すごく好きで、思い切って告白したの……そしたら、そのひとも私の事、好きだって言ってくれた」

まるで、懺悔でもするように昔の話をするから僕は自分が懺悔室にいる神父にでもなったような気分になった。

「……でも……そのひとにキスされた瞬間……何も、感じなくなっちゃって……」

繭莉は、ぺたんと床にへたり込むと手で顔を覆った。

「その後は、いくら好きだって言われても、触れられても……何も感じなかった……だから、何も出来なかった……私、怖い……何をされても、感じなくなるのが怖い……」

キスすると感じなくなる……何も?好きなのに?

気持ちが冷める?……いや、反対だよな……キスしたら、もっと好きになれると思うのに。

どうしてそうなったかは分からないけど、繭莉は繭莉なりにその事で悩んだと思う。

だから、今の今まで誰にも言わなかったんだろう。

だけど、それでどうしてホークスと関係を持ったのかが、分からない。
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