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たまのケージ【ヒロアカ】

第14章 可哀想な2人(相澤消太)


 「……はい」
 『あー!マジ神!拾ってくれてありがとうございまーす!』
 聞こえてきたのは、若そうな女性の声だった。
 『そのスマホ、友達のなんですぅ!あの、今どこにいらっしゃいます?』
 「駅前の、大通りですけど」
 消太はそう答えながら、嫌な予感を感じていた。
 『えー近い!すみませぇん、そのスマホ届けてもらったりとかってできます?』
 
 やっぱり、そうなるのか……

 面倒くさい事この上ないと思ったが、仕方ないと消太は腹を括った。
 
 「どこにですか」
 『駅前のレンタルドレス屋の隣にある居酒屋にいますんで!待ってまぁす!』
 そこで、通話は切れた。

 「……はぁ……」

 色々な感情が混ざった溜息を吐いて、消太は言われた場所へ向かって歩き出した。



 「いらっしゃいませー、お1人ですかぁ?」
 目的地の居酒屋に入ると、元気な店員がやってきた。
 「いや、」
 辺りを見渡しながらそう言うと、1人の女性客が消太に気付き椅子から立ち上がった。
 「あーっ!もしかして、スマホの人!?」
 
 よかった、案外早く見つかった。

 こちらにやってきた女性にスマホをぽんと渡す。
 「やー、ありがとうございますぅ!」
 「……いえ。じゃあ」
 この場から立ち去ろうと女性に背を向けると、腕をぐっと掴まれた。
 「これもなんかの縁なんでぇ、お兄さんも飲んでってくださいよぉ!奢るから!」
 
 消太は何故か迷った。

 確かに今は飲んだくれたい気分だ。

 だけど、こんな若い女と飲んだ所で話題も合わないだろうし何もかもがズレそうな予感をひしひしと感じる。

 止めておこう、帰ろう。
 
 家に帰って1人で飲もう。

 「はい、座って!」

 両肩を掴まれて、無理矢理椅子に座らされる。
 若者の勢いとはすごいもんだと感心してしまう。
 テーブルにはもう1人、女性が座っていた。
 しかし、テーブルに突っ伏してさめざめと泣いている。
 
 何があったんだろうかと、嫌でも気になる。

 「ほら繭莉!スマホ戻ってきたよ~、お兄さんにお礼言って!」
 すると、その繭莉と呼ばれた女性は突っ伏したまま「……ありがとうございます……」とだけ言って泣き続ける。
 「もぉ……すみませんねお兄さん!取り敢えず何か飲んで!すいませぇん、ハイボール3つくださぁい!」
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