【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第11章 The Night I Chose You
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三年生の教室には、朝からどこか落ち着かない空気が満ちていた。
最後の日独特の、胸の奥がそわそわするような温度。
黒板にはクラスメイトたちが書いた「卒業おめでとう」の寄せ書きが残り、机の上には花束や色紙が並べられている。
体育館へ向かう廊下には、親の姿もちらほら混じっていた。
ざわめき、笑い声、泣き声、記念撮影のシャッター音。
どれも今日しか聞けない響きだった。
壇上の先生たちが順番に祝辞を述べ、校歌が流れ、卒業証書授与が始まる。
3年間一緒に過ごした友田が名前を呼ばれ、返事をして立ち上がるたびに、胸の奥がじんわり熱くなる。
仁美 が壇上へ進んだ時、体育館の端のほうで、研磨が小さく目を細めたのが見えた。
いつも通りの無表情なのに、どこか誇らしげな。
その少し離れた場所で、黒尾もまた、同じ表情で仁美を見つめている。
卒業証書を受け取り席へ戻ると、式の後半はあっという間だった。
卒業生退場。
拍手。
涙交じりの笑顔。
積み重なった三年間が、ここで一度区切られる。