【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第10章 Honeyed Threat
黒尾が、自分以外を好きになれる人間だと知ってしまったから。
今までずっと信じていた。
黒尾の言葉や態度の端々から、自分を特別に思ってくれていると、勝手に、だけど確信のように感じていた。
でも現実は違った。
知らないところで、知らない誰かと出会い。
知らないうちに心が向いて。
知らないうちに惹かれて──
そして、仁美 が知らないまま“好き”になっていた。
黒尾の心は、仁美 が思っていたよりずっと広くて。
ずっと遠くて。
自分の知らないところに伸びていってしまう。
その事実だけが、刺のように胸に残っている。
黒尾がどれだけ抱きしめてくれても。
何度「好きだ」と囁かれても。
強く求められても。
消えない不安がある。
また同じことが起きたらどうしよう。
明日、また誰かに出会って、その人を好きになってしまうんじゃないか。
黒尾は一度、“それ” をやってしまった。
だからきっと、次もあり得る。