【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第8章 Unholy Devotion
それでも研磨は歩幅を変えない。
仁美の横で、ただ歩く。
その小さな世界を、守るように。
帰ってくるのは分かってる
でも、どこに寄り道してるの?
研磨は誰にも言わない。
黒尾にも、仁美にも。
言葉にしたら、壊れる気がした。
まだ、触れるべきじゃない。
だけど心の奥で、
ゆるく牙を研ぐ。
……もしこの“違和感”が仁美に触れるなら、その瞬間、全部気づく。
そのときは——
黙ってはいられない。
研磨はそう思いながら、何も知らず笑う仁美の横顔を見た。
静かに。
淡々と。
しかし確かに。
黒尾が気付かないフリをしているこの時にはもう–––。
壊れかけていた。
––––
––––––
体育館にはボールの弾む音と、床を蹴る重い足音が響いていた。
熱気。歓声。焦げた照明の光。
高校バレー特有の張り詰めた空気。
コート中央、黒尾は堂々と立っていた。
「ライン意識して。次は抜いてくるぞ。」