【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第8章 Unholy Devotion
その夜、連絡は来なかった。
でも、黒尾は眠れなかった。
スマホを枕元に置いて、何度も光らない画面を見た。
次の日。
練習が終わった頃、震える音がポケットに響く。
1件の通知。
短いメッセージ。
『…昨日、ありがとう。眠れた。』
その文字を見たとき、全てが手遅れだと黒尾は思った。
止めなきゃいけなかったのは、自分の足じゃない。
心の方だった。
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放課後の風はもう少しだけ涼しかった。
校舎の廊下に、声が響く。
「クロー、待ってたよ!」
駆け寄ってくる仁美。
その笑顔はいつも通りで、無邪気で眩しい。
黒尾の胸に、反射的に温度が戻る。
「悪ぃ悪ぃ、ちょっと顧問に捕まってた。」
肩を軽く叩きながら、きっといつも通りの声で笑う。
その横で研磨がスマホをしまい、猫みたいにゆっくり立ち上がる。
「帰ろ。」
口数少ない、けれど変わらない日常。
三人で並んで歩く帰り道。