【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第6章 No One’s Yours
「……クロ、来てないの?」
ここに黒尾がいない事が予想外だった。
黒尾の性格なら、研磨と仁美が二人きりになるなんて、絶対に避けるはずだったからだ。
研磨はゆっくりと部屋に戻りながら、短く答えた。
「来たよ。……一回来てすぐ出てった。」
その言葉に、仁美の胸の奥がずしんと沈む。
詳細を言わなくても、どこへ行ったのかは分かってしまった。
昨日あれだけ伝えたのに。
クロはあの人を、選ぶんだ。
目の奥がじんと熱くなる。
思わず押し殺した声で、仁美は呟いた。
「……クロ、あの人のとこ行ったんでしょ。」
研磨は少しだけ目線を上げ、仁美の表情を静かに見つめた。
「……なにか、あったの?」
研磨は仁美を部屋の中へと通すと、ゆっくりと背後の扉を閉めた。
その音のあとに仁美の目から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
一粒落ちると、次から次へと涙が止まらなくなる。
声も出せないまま、ただ視界が滲んでいく。