【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第6章 No One’s Yours
研磨からのキスも腕の感触もまだ覚えている。
あの時確かに、仁美は研磨の手に心を落ち着かせた。
彼の腕の中は、まるで初めから自分のためにある様な–––。
そんな絶対的な安心感があった。
黒尾の腕の中は、荒波に呑まれる様だった。
彼のキスも触れる手も、1つの安らぎはなくて、ひたすら感情が刺激された。
黒尾の腕に溺れるかと思った。
仁美はほんの少し–––。
でも、確かに3人の形が崩れ始めているのを感じていた。
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次の日。
仁美は研磨の家の前に立ち、軽く息を吐いた。
インターホンを押す前から、心臓の鼓動がうるさく響いている気がする。
ドアを開けると、いつも通りの無表情–––。
少し気だるげな顔をした研磨が出迎えた。
だけど、その背後に黒尾の姿はなかった。
「……研磨部活は?」
「…明日から。」
文化祭も終わり、研磨は一人だけバレー部に戻る。
その寂しさは確かにあるのに、仁美は階段を上がりながら別のことを考えていた。