第1章 死にたがりに口づけを
「つれないなぁ。試しに聞いてみただけだよ」
天使の悪魔は肩をすくめた。
触れたものから寿命を吸い取り、寿命を使って武器にする。
そんな能力を持つ天使の悪魔にとって、命は分け隔てなく等価であり、赤子の五十年より英雄の一年が優れた武器を作れるということもない。
天使の悪魔はパワーから、早川の寿命はあと二年だと聞かされていた。
残り僅かな生を復讐に捧げるのは、自ら死に向かうことと何ら変わらない。
「…目的を持って生きるのと、目的を見失って死を選ぶのは、全くの別物だろうが」
「どっちかを選べと言われたら、僕なら迷わず後者にするね」
そう言うと、「働きたくないから」と付け加えて、天使の悪魔は虚空を見つめた。
「馬鹿げた人生哲学だな」
「そんな大それたものじゃないよ」
——僕が生きる目的ってなんだろう。
ふと天使の悪魔の頭にそんな考えがよぎったが、口にはしなかった。