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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第13章 宵闇 〜恋闇〜


「澪ちゃん……澪ちゃん!」

私を呼ぶ声が近くなる。瓦礫の上に座り込んだまま東の空が白んできた頃、私に影が落ち見上げると、愛しい人が血だらけで微笑んでいた。

怪我は?と言いながら手を差し伸べてきたのでその手を取り、ほとんどないと答える。

終わった…勝てた。長い夜を乗り切れた。この人のお陰で…。

「宗四郎さん…お疲れ様」

「ん、澪ちゃんもお疲れさん」

血がついた唇が触れ、舌が絡んだ。口の中に鉄の味が広がる。
宗四郎さんは私の存在を確かめるように、強く抱き締めた。

少し息を荒くしながら離れた唇が震える。今この瞬間だけは…この唇も、力強い腕も、本物であって欲しいと願った。

宗四郎さんに手を引かれながら瓦礫の山を歩いて、みんなの元へ辿り着く。
きこるんのところまで来ると、宗四郎さんは手を差し伸べた。

その手を取って立ち上がったきこるんは、私たちの後ろを見て敬礼をする。私たちも後ろを向いて敬礼をした。

「僕と隊長は余獣の殲滅にかかる……アイタッ」

「いや、お前は休め」

亜白隊長にチョップをされた彼に吹き出しそうになってしまった。

すぐに中之島小隊長や斑鳩小隊長が来て、亜白隊長にも休んでくださいと言っている。
そうだ、亜白隊長は全開放して連射していた。スーツはもう駆動限界に近いだろう。

話していると亜白隊長のペット――白い虎の伐虎が空に向かって唸り出した。それに釣られるように私たちも空を見上げる。

「な、にあれ……」

真っ赤な光を発する球体に余獣たちが潜り込んでいく。なんだかわからないが、すごく嫌な感じがした。
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