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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第102章 刀鍛冶の里での罠〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】


部屋に足を踏み入れた瞬間、異様な熱気と血の匂いが鼻をついた。

腕から赤い血を流した美月は、部屋に戻ってきた無一郎を見るなり、縋るような目で両手を伸ばす。

無一郎はそれに躊躇うことなく応じ、すぐに美月の側へと寄り添い、その身体を優しく抱きとめた。

さっきまで自分を狂おしいほどの熱で満たし、荒い吐息を耳元で刻んでいた彼とは、まるで別人のような、静かで穏やかな眼差し。

「…ゆき、申し訳ないんだけど、手当てしてもらえる?」

無一郎が気まずそうに、バツの悪さを滲ませた表情でこちらを見つめてくる。

その瞳に映る自分が、乱れた着物を整えたばかりの、酷く惨めな姿に思えて胸が痛んだ。

けれど、ゆきは溢れそうになる感情を飲み込み、美月の腕へ視線を落とした。

傷口には、割れた鏡の破片が深く突き刺さっている。

一刻も早く抜かなければならない。

手元に掴むような道具がなかったため、ゆきは清潔な手拭いを添え、指先で慎重に破片を取り除こうと試みた。

美月は無一郎の身体にしっかりと抱きついたまま、ゆきの方へと腕を差し出してくる。

その時、無一郎の口から、信じられないほど甘く優しい声が溢れた。

「美月、もし痛かったら…僕の肩を噛めばいいからね」

その言葉に、ゆきの胸の奥が冷たく凍りつく。
先程の出来事はなんだったのか?と…切なくなった。

「ん…!」

破片が抜ける瞬間、美月は遠慮がちに、けれどしっかりと無一郎の肩口に噛みついた。

鋭い痛みに耐えるその瞳は、無一郎の背越しに、じっと、真っ直ぐにゆきを見ていた。

美月さんの瞳の奥にある明確な敵意と、自分を抱きしめていた無一郎くんの肩に刻まれる彼女の痕跡を、ゆきはただ見つめることしかできなかった。

血まみれになりながら一通りゆきは手当を終えた。

「私、手洗ってくるね」

そう言い残してゆきは、部屋を出ようとした…が足を止め無一郎にこう告げた。

「今夜は美月さんの側に居てあげたら?」

無一郎くんは…なんて答えるのだろう…

無一郎が、口を開こうとしたと同時にゆきに向かって美月が簪を投げつけた。

ゆきの頬から血が流れる…。

「簪が欲しければあげる!許さないから!」





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