第102章 刀鍛冶の里での罠〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】
温泉に広がる湯気の中、ゆきはただ一人、温かい湯に身を沈めていた。
けれど、冷え切った心は温まらない。
無一郎に叩かれた頬が、今もかすかに熱を持ってズキズキと痛む。
無一郎が、美月の言う事を鵜呑みにして自分に手をあげた事が悲しかった
そう思うだけで、視界が涙で歪み、温泉の湯面と混ざり合って消えた。
その時
ザバァ、と静かな脱衣所から、誰かが広い湯船に入ってくる音が響いた。
混浴の温泉とはいえ、こんな時間に誰が…。
恐怖と気まずさから、ゆきは音のする方とは反対側へ、音を立てないように移動した。
そのまま、一刻も早くこの場を立ち去ろうと湯から上がろうとする。
しかし、足音が、まっすぐにこちらへ近づいてくる。
恐怖に駆られたゆきは慌てて足を動かしたが、足を滑らせ温泉の中に沈んだ。
思わず目を閉じたその瞬間、強い力を持った腕が、容赦なくゆきの身体を水中から引き上げた。
「危ないだろ!」
耳元で響いたのは、聞き馴染みのある声。
驚きに目を見開く暇もなく、ゆきはそのまま、彼の腕の中へと強く抱きしめられていた。
遮るものは何もない。素肌と素肌が、湯気の中でダイレクトに触れ合う。
鍛え上げられたしなやかで硬い胸板。そこに、ゆきの柔らかな二つの膨らみがぴったりと密着した。
ドクドクと、狂ったように打つ彼の鼓動が、肌を通じて直に伝わってくる。
「…無一、郎、くん…?」
あまりの熱さと、彼の体温、そして心臓の音の激しさに、ゆきは思考を完全に停止させてしまう。
「行かせない…。勝手に帰るなんて、絶対に許さないから」
「は、離して!温泉なら美月さんと入ればいいでしょ?」
無一郎は、かっとなりゆきを抱きかかえて誰もいない脱衣所に連れて行った。
そして無一郎は、乱暴にゆきを床に押さえつけその上に覆い被さった。
「何するの!?」
「何するかって?君にここでお仕置きだよ」
そう、言いながら先程叩いてしまった頬を優しく撫でた。