第69章 淫らな六つの夜〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥【R強強】
毎日繰り返される「練習」は、ゆきにとって自分自身との戦いでもあった。
無一郎が隣に座る。ただそれだけのことに、最初は呼吸を整えるだけで精一杯だった。しかし、無一郎は決して急かさなかった。
「今日は、昨日より少しだけ長く触れられたね」
無一郎は、隣でゆきの体温を感じながら、静かな声で語りかけてくれる。
次第に、二人は肩が触れ合う距離で並んで座れるようになったが、そこには見えない壁ができていた。
抱きしめ合うこと。互いの鼓動を感じるほどの密着は、ゆきがまだ山賊の断片が脳裏によぎるからだった
そんなある日の夕暮れ。無一郎はいつになく真剣な表情で、口を開いた
「明日から一週間、北西の村で任務が入った。上弦に近い鬼の目撃情報があるんだ」
ゆきの心臓が、ドクンと鳴る。
「一週間…そんなに長く?」
「うん。本当は離れたくないけど、お館様の命だから。戻ってきたら、また練習の続きをしようね」
無一郎はそう言って、ゆきの頬に触れようとして、迷うように手を止めた。
無一郎は、ゆきに拒絶されることを何よりも恐れていたから…触れるのを我慢した…。
「行ってくるね、ゆき。大好きだよ…帰ってくるの待っててね」
ニコッと笑顔をくれた後キリッとした表情に変わり部屋を出て行った。
無一郎がいなくなってから、病室は静かすぎて耳が痛く感じる
一人きりのベッド。静まり返った空間。
せっかく無一郎くんの近くが怖くなくなったのに…淋しいな…でも任務だし仕方ないよ。
不安な気持ちを飲み込み、そろそろ寝ようかと思い布団に横になり目を閉じたその時…
ギーッ
「誰?」
扉が音を立てた。ゆきは、急に怖くなりすぐに身を起こして毛布を被り隙間から扉を見つめた…
いつもの見慣れた羽織
「夜分にすまない…」
義勇が、ベッドの上のゆきを見た時胸が痛んだゆきは、毛布を顔の半分まであげてこちらを見てカタカタと震えている
「お、驚かすつもりはなかった…すまない…」
毛布を持つゆきの手の震えは止まらなかった。義勇は、ゆっくりと距離を詰めていくゆきは、義勇を見つめたまま震え続ける。
だけど止まってくれない
義勇さん?何で…?