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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第68章 偽りの日々〜冨岡義勇 時透無一郎


無一郎の吐息が肌に触れる距離まで近づき、ゆきは恐怖で心臓が潰れそうな衝撃を受けていた。

「嫌、だ…。来ないで!」

必死に顔を背け、固く目をつぶる。

その脳裏に焼き付いているのは、あの忌まわしい山賊たちの笑い声と、あの不快な感触…。

言えない…。無一郎くんにだけは、絶対に言えない。汚れてしまったなんて知られたら、きっと無一郎くんは私を軽蔑する…その綺麗な瞳で、私を見なくなる…嫌われる

無一郎にとって、自分は清らかなままでなければならない。その思い込みが、無一郎の手が触れるたびに「汚れが移る」という恐怖と同時に山賊の記憶を呼び覚ましていた。

一方、義勇と不死川に心を許せたのは、何もかもを知っているから…。

だが、しのぶに言われた言葉が脳裏を過ぎる…私は男達を誘う目をしている…だから山賊に汚され自業自得だと


義勇さんと不死川さんの優しさも本物ではないのかも?頭が混乱する…

「どうして…目を逸らすの?」

無一郎の声が、耳元で低く震える。掴まれた手首に力がこもり、逃げ場を完全に断たれる。

「僕がどれだけ君を愛してるか、本当にわかってないんだね」

無一郎くんの声が耳元でする…心地よい好きな声なのに、それを掻き消すように山賊の男達の笑い声に変わる…

「力ずくでも…いくよ。我慢の限界だから…」

唇が触れる、その寸前。 ゆきの頬を、一筋の涙が伝い落ちた…。 その時…

    「時透くん!そこまでです。取り敢えずゆきさんから離れなさい。」

落ち着いたその声は、しのぶさんだった。

無一郎は不貞腐れた表情で、ゆきから手を緩め、しのぶの声の方に顔を向けた。

「彼女は、まだ治療中なのですよ?距離を保つならと、接触を許しましたが今の時透君は約束を守っていませんよ。」

「僕はなぜ駄目なの!?もういいよ!」

無一郎は、黙って部屋を出ていってしまった。

「時透くんの気持ちもわかるので…つらいですね…あなたの男を誘惑する目に惑わされたのでしょう…」

しのぶが、切ない顔でゆきをみた。

「ご存知の通り私はあなたが好きではありません。ですが貴方が混乱しそうだったので医者として止めに入りました。」

しのぶなりのゆきへの優しさだった。



窓の外には、部屋を見つめて立ちすくむ義勇の姿があった…


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