第113章 決心〜冨岡義勇【微R】
義勇は、屋敷までの帰路を重い足取りで歩いていた。先ほど交わした言葉のすべてが、胸を鋭くえぐり続ける。
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「何を言っているんだ!? 馬鹿を言うな!」
怒鳴り散らした自分の声が、耳奥で反響していた。
両親の残した財産と今まで隊士として貰ったお給金で暮らすなどと、そんな無茶が通るはずもない。
「駄目だ! ならば俺がお前を貰う!」
「そんな事は、出来ません。無一郎くんはどう思います?」
冷たいほどに穏やかな声で返され、義勇は必死に言葉を重ねるしかなかった。
「ならば俺も一緒に行く。二人で…いや、腹の子と三人でどこかで暮らそう」
それは柱としての責務を捨てるに等しい覚悟の言葉だった。しかし、ゆきはただ悲しい笑みを浮かべ、静かに首を横に振った…。
「…義勇さん…義勇さんはなぜ鬼殺隊で柱をしているのですか? 私なんかのために信念を変えないでください」
静かな拒絶だった。
自分という存在がゆきを追い詰め、その選択を強いてしまったのだという事実に、義勇は自責の念で押し潰されそうになる。
あの過ちの夜さえなければ。自分が踏み留まってさえいれば、ゆきが時透との未来を諦め、身を隠すように消えようとすることなどなかったはずだ。
過ちの代償にしては、あまりにも残酷すぎる。
お腹の子の父親が自分なのか、あるいは時透なのかはわからない。
けれど、たとえ誰の子であろうと、彼女が孤独にすべてを背負って姿を消すことなど許せるはずがなかった。
このままでは…ゆきが居なくなってしまう…
どれほど拒まれ、責め立てられようと、ゆきと腹の命を失うわけにはいかない。
隊士としての誇りも、柱としての責務も、わかっている。
だが、ゆきが側にいるからこそ頑張れる自分がいた…。
ゆきは、時透が任務から戻るまでに出ていくはずだ…。
そんな事は絶対にさせない…。
絶対に…
淋しい思いをさせたくはない。