第112章 言えない〜時透無一郎 冨岡義勇【R強強】
湯けむりの中で、ふたりの情事は熱を帯びて続いていた。
離れていた日々そしてすれ違いに心を痛めた時間を埋め合わせるように、無一郎はゆきを激しく愛し続ける。
湯船から溢れ出るお湯の音が絶え間なく響き、快楽の波が何度もゆきの体を揺さぶった。
「む、無一郎くん…そろそろ…出よう…?」
荒い息の合間にゆきが苦しそうに呟く。
しかし無一郎はゆきの腰をしっかりと抱き寄せ、さらに深く奥まで硬くなったものを入れてくる。
「何で?…僕は、まだ足りないよ、収まりそうにない…癒してよ」
無一郎は潤んだ目で見つめてくるが、ゆきの体の異変は限界に達していた…。
のぼせ上がった顔は赤く火照り、呼吸は浅く整わない。
頭がくらくらと眩暈を起こし、体に走る激しい快感だけでかろうじて意識を保っている状態だった。
このままでは本当にお腹や体に障ってしまう…そう感じたゆきは、震える手で無一郎の腕に触れた。
「む、むいくん…本当に、少し気分が悪いの…お願い…」
弱々しい声で切実に訴えかけるゆきの言葉に、無一郎はハッとした。
愛おしさに夢中になるあまり、ゆきの異変に気づけなかった自分に血の気が引く。
無一郎は即座に行為を止め、熱を帯びた自身をゆっくりとゆきの中から引き抜いた。
「大丈夫!?…ごめん、ゆき…僕、夢中になりすぎて…」
急いでゆきの体を抱きかかえると、湯船からそっと引き揚げて洗い場の床に座らせた。
冷たい空気が肌を撫で、ゆきは少しずつ呼吸を取り戻していく。
無一郎は不安そうに顔を歪めながら、桶に汲んだぬるま湯をゆきの体に優しくかけ、火照りを鎮めるように背中を撫で続けた。
「ごめんね…寂しかったからって、乱暴にして。気分、悪いの治まってきた…?」
濡れた髪を耳にかけ、覗き込んでくる無一郎の瞳には、先ほどまでの激しい欲望ではなく、素直な愛おしさと深い後悔が揺れていた。
ゆきは少しほっとしたように息を吐き、無一郎の手を優しく握り返した。
「ありがとう、良くなってきた。」
無一郎は、胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべる。
「じゃあ部屋に戻ろうか」
そう告げて寝間着をさっと羽織った。