第112章 言えない〜時透無一郎 冨岡義勇【R強強】
脱衣所に満ちる蒸気と木の香りが、逃げ場のない現実を突きつけてくる。
無一郎の指先がゆきの帯に手をかけ、ゆっくりと解いていく。
一着ずつ衣が滑り落ちるたび、鼓動が早くなる。
拒むことなど、最初からできない。
されるがままになりながらも、その手に触れるだけで、胸を刺すような愛おしさと罪悪感が同時に押し寄せて破裂しそうになる…。
最後に残った肌着を脱がされた瞬間、身体を隠すものは何もなくなった。無一郎の視線が、ゆきの全身を静かになぞる。
「…すごく綺麗だ、ゆき」
そして無一郎も自ら隊服を脱いでいった。
最後に会った時よりも、無一郎の背は確かに少し伸びていた。
ゆきの肩を掴む手つきや、腰を支える掌はひと回り大きく、少年から青年になろうとしていた。
「恥ずかしがらなくていいよ。君のすべてを、僕に見せて」
無一郎はゆきを抱き上げ、静かに湯船へと足を踏み入れた。
温かい湯が身体を包み込むのと同時に、後ろから引き寄せられ、無一郎の胸に背中をぴったりと預ける形になる。
湯気で濡れた無一郎の長い髪がゆきの肩に散り、首筋に熱い息が吹きかけられた。
「ずっと…こうしたかった。君に触れられない夜、どれだけ君を想っていたか分かる?」
背中越しに伝わる、無一郎の強い鼓動。
まっすぐで純粋な無一郎の愛を感じれば感じるほど、ゆきのお腹の奥がキュッと痛む。
このお腹の中に宿る小さな命
その父親が、目の前にいる無一郎なのか、それとも昼間に去っていった義勇なのか…。
そんな恐ろしい秘密を隠したまま、彼の優しさに浸っている自分が恐ろしいとゆきは、思った。
湯船の底で小さく手を握りしめると、無一郎はそれに気づいたように、指を絡めて深く握り返してきた。
「ねぇ、どうしてそんなに震えているの…? 寒いの? それとも、僕が怖いの?」
「ううん。何でもない」
無一郎は、ゆきの耳を甘噛しながら告げる…
「我慢できない…今君が欲しい…。」
その言葉と、同時に無一郎の手がゆきの胸に伸びてきて、先端を指で弾いた。
「隠も近くに居ないし…声いっぱい出していいからね。」
焦るゆきを、よそに無一郎の手はゆきの体を愛撫し始める…。