第108章 不安〜冨岡義勇【R】
「顔が赤い。…何があった?」
「何って…ただの手当をしていただけです」
「嘘をつくな!」
「嘘なんかついていません……!」
必死にはぐらかそうとするゆきに、義勇の胸の内で苛立ちが渦巻く。
幸に何かされたのなら、隠さずにすべてを話してほしい。
それなのに、どこか幸を庇うような態度をとるゆきが許せなかった。
嫉妬が膨らみ、義勇の思考を黒く塗り潰していく。
「義勇さん…手、痛いです…離してください…」
「言え!何をしていた?」
懇願の声にも耳を貸さず、義勇はさらに深く体重をかけてゆきを完全に押し潰した。
手首を強固に掴み上げ、動けないようにする。
「く、苦し…」
手首を締め上げる腕は強く、胸の上にのしかかる重みに呼吸すら満足にできない。
押しつけられた身体から伝わる義勇の熱気と圧迫感に、ゆきは恐怖で身をすくませた。
「ゆき…部屋の中で何があった? 言え!」
いつもと違う義勇さんが、怖い…
低く何処までも怖い声…。
押し潰されそうな圧迫感と息苦しさに耐えかね、ゆきは震える唇をかろうじて開いた。
「く、口づ……け……されました……」
苦しそうなかすかな囁きが薄暗い部屋に落ちた瞬間、義勇の頭に一気に血が昇った。
視界が赤く染まるほどの怒りと嫉妬が弾け飛ぶ…。
ゆきが、苦しさで意識が遠のきそうになる…義勇は、我に返り体重がかからないように身体を浮かせた。
ゆきは、やっと空気が吸えた事により呼吸が荒くなる。
だが、息が出来たのもつかの間…すぐに義勇に唇を塞がれた。
唇が、離れると同時に抱きしめられた。
「同じ女性だからと言って気を許すな」
義勇は、泣きそうな目でゆきを見つめた。
「時透が、居ない間のお前はすべて俺のものだ…。」
ゆきが、目を逸らす…
「何を言ってるんですか?」
義勇は、耳元で続ける。
「幸に触れさせない…今は俺のものだ。」
背中に回された義勇の手が撫でるように身体を這う…。
薄暗い物置の中は、二人の熱量で熱くなっていた…。
無一郎が、不在の今…義勇のゆきへの愛はどんどん熱を帯びていく…。