第107章 足の怪我〜時透無一郎【R強強】冨岡義勇【R微】
翌朝、ゆきがゆっくりと瞼を開けると、隣にはまだあどけなさの残る美しい少年が静かに息を吐いていた。
愛おしいその長い髪に触れ、そっと身体を起こす。
途端、下腹部から昨夜の余韻がドロリと伝い落ちた。
二人がどれほど激しく深く求め合ったかを物語る熱い証。
布団を汚すまいと、ゆきが慌てて手拭いでそれを受け止めようとした、その時だった。
「…たくさん出ちゃったから、ごめんね」
背後から温かい腕がまわされ、ゆきの腰をそっと抱き寄せた。
耳元に吹きかけられる無一郎の吐息に、ゆきの頬は一瞬で耳まで真っ赤に染まる。
無一郎は愛おしくてたまらないといったようにゆきの肩に顎をのせ、少しだけ気怠そうな甘い声で囁いた。
「…赤ちゃん、出来たりして」
その言葉に、ゆきは息を呑んで振り向いた。
無一郎の瞳はどこまでも澄んでいて、本気でふたりの未来を望んでいることが伝わってきて胸が締め付けられる…。
これまで何度も彼に抱かれてきたけれど、そんな未来を想像したことは…正直…なかった…。
—強いて言えば、昔
義勇の屋敷で、毎晩抱かれた日々があった…。
月のものが止まり、「もしや」と一人震えていた記憶が、不意に脳裏をかすめる。
結局何事もなかったけれど、今もふとした時に思い出す。
ゆきの瞳に影が差したのを、無一郎は見逃さなかった。
過去の痛みをすべて上書きするように、無一郎は優しくゆきの唇を塞ぐ。
「…ううん、忘れて。ただ、君との証が欲しいくらい、君が好きだってこと」
明日からの任務への不安も、すれ違いの寂しさも、全部溶かしていくような甘い抱擁…。
「簪の件も…君の話を聞かなくてごめん…。ゆきを信じるよ。」
腕の中で、驚いた表情でゆきは無一郎を見た。
無一郎は、ゆきの薄くなった傷が残る頬に触れる。そして、切ない表情で優しく撫でた。
「ごめんね…頬を叩いたりして…君は悪くないのに、僕もどうかしていたんだ。美月を、僕は好きだ。良い子だし継子として素晴らしい子だ…だけど君に対しての好きと違う好きなんだ。ゆきは、愛おしくて尊い好きなんだ。口づけして、いっぱい触れて抱きしめて愛したいと思うのは、君だけだよ」
「無一郎く…ん」